私が今回、蝋燭に灯った生命の灯火を吹き消そうと思ったきっかけは、一般的で、いかにも高校生らしい理由などでは決して無いことを、まず最初に述べておきましょう
それが数多くの要素の一欠片であったとしても、失恋や進路への漠然たる不安、絶望が、私の筆を進める最大の動機とは成り得ないのです

皆さんは地球に生きる地球人であり、社会性を持った健全たる人間であります
世界を牛耳る資本主義経済という歯車の中で、人間関係を形成し、家庭を持ち、そして人生を全うしていく
そんな文明人も、所詮は本能に支配された動物なのです
本質的には、理性に欠けた動物の一個体に過ぎないのです
現実的に世界を俯瞰してみると、残念ながらこの世は不条理で溢れています
欲望を行動原理とする人類のエゴがある限り、戦争の放棄や万民の平和的統合は理想論の域を出ない
慢性的な飢餓や貧困は永遠のテーマであり続け、人類の種族的繁栄と共にむしろ悪化する

理性的で知的であるはずの若い文明人たちにも、利己的な思考が浸透し、分厚い化粧で隠れた瞳は淀みきってしまっています
常に相手の顔色を伺い、騙し、騙される
本来、心を充実させてくれるはずのコミュニケーションは、実にひねくれた駆け引きの場と慣れ果てています
若者たちは、常に欺瞞の中に、その身を束縛されているのです
人間性のまるで無い理屈でしか、若者たちは物を思考することが出来なくなってしまったのです
純粋な輝きを喪失させてしまった胸の水晶には、暖かな心の光はありません
こんな殺伐とし、愚かな空気で満たされた世界には、自分の居場所は最早存在しないのだと強い確信を持ちました
(続く)